保守管理について
太陽光発電設備は、電気工作物です。発電設備を設置・管理する責任は、設備の所有者になり、電気事業法に基づき、所有する発電設備を経済産業省令で定める技術基準に適合させる義務があります。
適切な保守管理が行われていない発電設備は、火災などの事故リスクが高まります。また、発電効率を最適に保つためにも維持管理が重要です。
〈法定点検〉
高圧受電している太陽光発電設備は、自家用電気工作物に該当します。
設備の維持及び運用に関する保安を確保するため、保安業務の基本となる保安規定を策定し、所管官庁に届出を行います。電気主任技術者が、義務づけられた日々の保安監督や保安規程に従った保守点検の実施をします。受電電圧が2,000kW未満の場合は、電気主任技術者を外部委託することができます。
〈法定外点検〉
日常点検
発電設備が可能な限り最大の発電を行うには、以下の日常点検を推奨します。
- 目視検査
(主に、固定金物、架台、基礎、モジュールの汚れ、配線、錆等の目視) - 稼働状況
- 除草
- パネル洗浄
IVカーブ測定とは
I-Vカーブとは、太陽電池が光を受けて発電する際の出力特性を、縦軸に電流(I)と横軸に電圧(V)の関係でグラフ化したものです。主に入射する光の強さと太陽電池の温度により出力が変化します。太陽電池ストリングおよびモジュールの特性変化の把握に有効な測定です。 IVカーブが正常な場合は、グラフはきれいな放物線を描きます。複数のストリングカーブと相対比較し、 異常ストリングの判定も行います。図のようにグラフが乱れている場合は、異常がある時です。この測定では、原因を特定するまでに至りませんが、目に見えない異常を見つけることができます。
バイパスダイオード測定とは
高い建物や木、パネルの汚れ等により太陽光モジュールの一部のセルに影ができたり、セルに欠陥または特性劣化が発生して発電できなくなっている場合、その問題があるセルを避けて電流を流す保護回路的なことをいいます。このバイパスダイオードに断線など不具合が生じてないかを確認します。 火災の発生を未然に防ぎ安全に運用することや、発電効率の低下を抑えることは経済面にもつながります。
直流ケーブルの絶縁測定とは
絶縁抵抗測定では、漏電や接触不良の問題がないか確認します。 太陽光パネル間のケーブルは、コネクターで接続しており、野外で使用するため何らかの原因でコネクターが外れたり、温度変化から同線の伸縮等による経年劣化で圧着箇所が緩むなど、接触不良を起こす場合があります。接触不良等の問題は、熱を保つ原因となり火事にも繋がります。交流部分の絶縁抵抗測定だけでなく、直流ケーブルの絶縁測定を行うことは安全に運用することに寄与します。